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  • 執筆者の写真smile-shinichi

【ニュース】《24時間の重度訪問介護》 訴訟

更新日:2018年8月13日

2018-07-24

ALS(筋萎縮性側索硬化症)を抱えるKさん(54歳)は、長野県信濃町が提示している1日9時間ほどの介護では日常生活ができないとして、信濃町を相手取り「24時間の重度訪問介護」を求める訴訟を起こしていた。

 Kさんは、2007年に重病指定されているALSと診断され、手足がほとんど動かせない状態。電動車イスに乗りヘルパーに介助されながら裁判所へ出廷した。発声ができないため、50音の文字を表示した文字盤を目やまばたきで指示して、付き添いのヘルパーが代読し意見陳述を行った。

 訴訟で信濃町は1日9時間半、月294時間の重度訪問介護が妥当であるとして、裁判で争う姿勢を見せていた。

《訴訟取り下げまでの経緯》

 Kさんは母親と弟との3人暮らし。しかし、母親は高齢で、弟は普段仕事をしているため長時間の介護は難しい状況だった。

 高齢の母親による介護を受けていた際、Kさんが転倒して怪我をしたこともあった。Kさんは家族や周囲の人たちに迷惑をかけたくないとして、一人暮らしをすることにしたという。

 6月に信濃町とKさんとの間で行った協議で、Kさんが一人暮らしをはじめたことを町側に告げた。Kさんが一人暮らしをはじめたことについて、信濃町は「介護をする家族のいない一人暮らしのため24時間の重度訪問介護支給を認めることにした」としている。

 Kさんは7月20日に長野県庁で記者会見を行い、信濃町が「24時間の重度訪問介護支給」を認めたため、長野地方裁判所に出していた訴訟を取り下げる手続きを行ったと発表した。会見でKさんは、「24時間介護してくださる安心感は言葉になりません。これからは我慢せずに健常者の方と同じように暮らしていけます」とするコメントを付き添いのヘルパーに代読してもらった。

《障害者自立支援法に基づく「重度訪問介護」について》

 2012年に行われた和歌山地裁の裁判では、ALS患者の介護を1日21時間以上まで引き延ばすように命じる判決が出ている。

 しかし障害者自立支援法に基づく「重度訪問介護」については、各自治体の判断にゆだねられているのが現状だ。和歌山地裁の判決や今回のKさん事例の影響から、「24時間の重度訪問介護支給」についての理解が全国的に深まり、支給が受けられるようになったケースも増えている。

 信濃町は「24時間の重度訪問介護支給」の決定は、裁判とは無関係であるとしている。信濃町住民福祉課は、「Kさんがこのまま家族と暮らしていたら、1日9時間半の支給が妥当であった。重度訪問介護とそのほかの介護サービスを組み合わせることで対応できたはずだ」とするコメントを出している。

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